【新規事業】大手企業における新規事業の立ち上げ方~ANAホールディングスの新規事業担当者を直撃!~

2020.08.13 | Kkeiko

PROFESSIONAL

【新規事業】ANAホールディングスにて新規事業を担当するデジタル・デザイン・ラボ マネジャー、次世代ツーリズム推進ディレクター 野島 祐樹(のじま ゆうき)さんにお話を伺いました!

インタビュアーは、㈱パソナJOB HUB 事業開発部部長 兼 ソーシャルイノベーション部長 加藤遼が務めます。

  • twitter
  • facebook
  • LINE

新規事業開発に特化した部署の成り立ちと組織について

―――はじめに、野島さんの所属している新規事業の開発に特化した部署の成り立ちと組織について教えてください。

ANAホールディングス新規事業担当の野島様

私は今、新規事業開発の部署「デジタル・デザイン・ラボ」にいます。約5年前にでき、現在、約20名の部署です。(2020年8月時点)5G、Society.5.0など、社会は絶えず変化し続けています。 “移動”という観点で言うと、人力から蒸気機関車へ変化し、その後、電車、自動車、飛行機へと移り変わり、今後は電気自動車が普及していき、やがて飛行機も何かに取って代わられる可能性がある、そう考えています。これらの変化にスピード感を持って対応していくため、既存事業と切り分けて、新規事業の創出に特化した部署として立ち上がりました。

元々弊社は、ヘリコプター2機から生まれたベンチャー企業のため、ベンチャースピリッツが根付いており、その意思が今もちゃんと引き継がれています。皮肉なようですが、今我々が行なっている既存事業をぶち壊して探求していこう、という考えがあります。まさに「破壊的イノベーション」ですね。そのために、今まで参入していなかった領域にも目を向け、連携できる環境作りも行っています。

新規事業部のルール

―――新規事業を立ち上げるに際、社内ルールはありますか?

新規事業を担当する部署のルールは大きく3つあります!
一つ目は、経営理念「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」を体現すること。
二つ目は、やったことがないことに挑戦すること。
三つめは、やると決めたら情熱をもってやり抜くこと。
このルールが守られていれば、あとは挑戦あるのみです。

新規事業部に所属する社員の特徴

―――新規事業開発というと期待の星、優秀且つ成功している方々が多く選抜されている部署だと思いますが、どんな社員の方がいらっしゃいますか?

ANAホールディングス 新規事業担当野島祐樹様

正直、超優秀な人たちが集まった、というわけではないですよ(笑)
逆に例えば、超優秀な人たちは、既存ビジネスを更に加速する土台を作って活躍してくれる人だと思っています。与えられたタスクを120%ロジカルにこなしていく。そういう業務に長けている人は、“オープンインベーション”のような環境だと、考えすぎて思いつめてしまう可能性が高いのでは、と思います。勝手な印象ですが(笑)

新規事業部のチームメンバーは、このような人たちとは少し違っている気がしています。ちょっと粗削りで、何を言われても気にしない、不完全でも進んじゃおう、という活動的なバイタリティ溢れる人が多いです。極端なことを言うと、今までの業務で成果をあげていない人でも、活躍できる新しいフィールドだと思いますよ。ちなみに、現在私の部署に在籍している20名は、ANAの各グループ会社から集まっておりバックグラウンドも様々です。

ただ、共通していることは、自ら新しい仕組みを創り出して「こんな社会を実現したい、社会課題を解決したい」という個人の思いが強いことです。このような新規事業は個人の思いが起点となって生まれています。
現在、20以上の新規事業が開発されている状況です。

―――1人で1つ以上の事業開発を担当しているということですね!それはすごい!

そうなんです。個人の思いを会社も応援してくれています。エアラインとして世界初、日本初、のような取り組みを行うことで、チャレンジ精神を社内外問わず発信していきたいと考えています。

新規事業の事業内容(テーマ)について
次世代ツーリズム、関係人口の創出モデルを創り出す」

―――20以上の新規事業の開発チームが動いているとのことですが、野島さんはどのような事業を担当しているのですか?

ANAホールディングス 新規事業担当野島祐樹様

 私は、「次世代ツーリズム、関係人口の市場創出モデルを創り出す」というミッションのもと新規事業開発に取り組んでいます。東京一極集中が日本の課題として挙げられますが、地方への人の動きが少なくなると、航空会社としては「機材(飛行機)を小さくする」などの対応をせざるを得なくなってしまう。結果的に地方の過疎化に拍車をかけてしまう可能性もあります。
そこで、今後の未来のために何か策を講じたいと考えました。それから、地方の人口を増やすことが難しくても、関わる人を増やすことはできると考え、「関係人口」を増やす取り組みを始めよう、と考えるようになりました。現在は、人々が気軽に地方で衣食住を体験できたり、地方での人との交流を通して「またこの人に会いたい。この人と交流したい」という体験をしてもらったり、様々なことに取り組んでいます。

新規事業のアイデアを思いつくタイミング

―――元々、地方創生に興味があり新規事業のアイデアを思いついていたのですか?

実は、今自分がやりたいと思っていることは、人とのコミュニケーションを通して見つけていきました。
私は岐阜県出身なので、地元に貢献したいという気持ちはありましたが、社会人になりたての頃は今ほど強い気持ちは別になくて(笑)社会人になり、外部の方々と話すことで醸成されていきました。大きなきっかけとなったのは、仕事で熊本地震の復興担当をしたことです。「復興割」のキャンペーンを行政から受託して事業運営を担当していました。その時に、次世代のツーリズム作らなくてはいけないと強く思いはじめ、当時、民泊事業が伸び盛りだったこともあり、民泊を取入れた旅行商品を自分で勝手に作って販売していました。このことが理由の一つとなり、今の部署で新規事業に取り組むことになりました。

その後、初めて「シェアリングエコノミー」という言葉を知り、同時に、地域創生に大切なことは何か、関係人口とは何かということも、周りの方や有識者の方の思いや意見を聞くことで学んでいったことで、結果的にこれらを仕事の軸にしていこうと思うようになりました。
今、私の地元には若い頃に助けてもらった幼馴染や友達が多く暮らしています。せっかくこういう仕事に就いたのだから、地元の岐阜県にも恩返しをしていきたいと強く思っています。

新規事業部の組織マネジメントについて
トップに必要なものは「メンバーを信用する力、信頼する力
中間管理職は「ひたすら話をきく壁打ち相手

新規事業部のトップに適任な人とは?求められることは?

―――現在、野島さんの組織は20名いらっしゃるとのことですが、トップはどんな方ですかまた、どのような人が適任だと思いますか?

ANAホールディングス 新規事業担当野島祐樹様

一言でいうと、「放任主義」ですかね。基本的に何も言いません(笑)
羊飼いのように見守ってくれています。ただ、メンバーが柵を越えそうな時には声がけや注意喚起をしてくれます。メンバーを信用してくれる、信頼してくれる、そんなトップがいるから現場は自由にのびのびと仕事ができています。ノウハウやスキル、経験は必須項目だとは思いません。

また、弊社は技術屋ではないので最新技術の力は持っていません。専門外の領域が沢山あります。そのため、外部の方々とのパートナーシップがないと成り立たないんですよね。トップがこのことをよく理解してくれており、社内外のオープンイノベーションの推進を積極的にしてくれています。
「信用できるパートナーを見つけて進めていこう!」「企業の大きさに関わらず、情熱を持っている人と一緒にお仕事をしていこう!」というスタイルなので、我々も外部の方々から沢山情報収集を行いながら事業開発・事業推進をしています。

新規事業部のマネジャー(中間管理職)に求められること、必要なこと~ノウハウやスキルは必要なの?

―――なるほど!野島さんはマネジャー職を務めていらっしゃいますが、ずばり新規事業の部門のマネジャーの役割とは何ですか?

ANAホールディングス 新規事業担当野島祐樹様

私は、ひたすらメンバーの壁打ち相手をしています!いつもウェルカムスタンスでいて、1日1時間以上は壁打ちミーティングが入っている状況です。ただ、面白いことに、メンバーが皆、自分の意思を持っているので、私がアドバイスや意見を伝えても、否定されてしまうことも多々あります(笑)結局、皆は話すことで自分の考えを整理したり、ちょっとした不安を取り除きたい、ということなんですよね!

―――わかります!私も後輩の話をよく聞く機会がありますが、アドバイスをしてほしいわけではないんですよね。「どうしたらいいですか」ではなくて「こうします」となぜか宣言されたり(笑)結果的に、話し終わった後の満足そうな顔を見ると、こちらも満足できるのでいいですけどね!

新規事業の開発予算について
基本的には、お小遣い制」

―――次に、欠かすことができない事業開発予算について聞かせてください。社内からの予算取りってどうされていますか?

基本的に、最初から開発予算の枠があるわけではなく、都度社内調整して進めます。(もちろん大枠では、ある程度決まっているとは思いますが)新規事業って、どこもこういうものなのかなと勝手に思っています。

社内の担当者に「このような未来を創りたい。そのためにリーンスタートアップで、半年でこのくらい必要。パートナーと組んでこのくらい必要」と毎回プレゼンします。まるで、お小遣いをもらう子供みたい。ちゃんとお小遣いをもらえるように、タイミングを見ながら、思いを持って発信していますよ。ただ、今は新型コロナウイルス感染症の影響で予算調整も正直以前のようにはいきませんね。投資できる予算が限られている中でも、一人ひとりができることを一生懸命考えて取り組んでいます。

新規事業開発時の失敗談について
「失敗だらけ!リーンスタートアップでトライアンドエラーの繰り返し」

―――野島さんは新規事業部に入ってから何か失敗談ってありますか?

ANAホールディングス 新規事業担当野島祐樹様

失敗だらけですよ!(笑)
お金をかけてイベントを行なっても予想以上に集客ができず、友達や、友達の友達を集めたり。ただ、先ほどもお伝えしたように会社の雰囲気として、挑戦していこう!リーンスタートアップでトライアンドエラーを繰り返していこう!というスタンスがあるので、やらないことが一番の失敗という考えが根付いています。そう考えると…、失敗していないといことになりますかね!?(笑)

―――いい風土ですね!実はパソナもThinktankではなくDotankという精神、動きながら考えるという社風があるのでリンクするな、と思いますね!

企業がイントレプレナーやアントレプレナーを生み出すために必要なのは
「会社は社員の自己実現の場所」という考え方

―――企業が、野島さんのようなイントレプレナー(社内起業家)やアントレプレナー(起業家)を輩出するために必要なことは何だと思いますか?

パソナJOBHUB 加藤遼

会社は、社員の自己実現の場所だということを伝えていくことだと思います。
“会社のために働く”を前面に押し出さないスタイルが必要ですね。自社の企業理念と社員の人生の目的がリンクしている、その目的を体現できるプラットフォームのひとつとして会社がある、という考え方がとても大切だと思っています。「あなたの目指すゴールのために自社をうまくつかってね」という気持ちをトップ層が持っていると会社の雰囲気も変わってきますね。これからの社会を担う人材が次々と輩出される会社って素敵ですよね!

―――いいですね!社員一人ひとりが自分の人生のゴールに向かって、社内で生き生きと仕事をしている。素敵です!

今後やりたいこと

―――最後に、野島さんの「今後やりたいこと」について教えてください

「全国面白い人データベース」をつくりたいです。
先程少し触れましたが、「この人に会いたい、だからそこに行く』という流れをつくっていきたいと考えています。自分自身の、その人がいるから、普段できないことができたり、行けなかったところに行けたり、という原体験からきています。「全国面白い人データベース」を基に、誰でも気楽に探せて会いに行ける。そういうネットワークを作っていきたいですね。「この指とまれ」サービスです。

―――いいですね!やっちゃいましょう!!

やっちゃいましょう!(笑)

パソナJOBHUB 加藤遼とANAホールディングス野島祐樹様

野島さん、貴重なお話をありがとうございました!

■野島祐樹さんのプロフィール
2007年 ANAセールス(株)入社。 大阪支店にて、旅行会社がパッケージツアーを造成する為の航空券セールスを担当。 その後、リクルートとの合弁会社、ANAじゃらんパック(株)の会社・事業立ち上げに従事。 全国の「じゃらん」の宿とANAの国内線を自由に組み合わせるダイナミックパッケージでの旅行販売・企画・事業推進を担当。 2016年より旅行戦略部で各自治体様との共同企画や震災復興支援企画の担当。 民泊を組み込んだ商品開発などを実施。 2018年から、ANAホールディングス(株)デジタル・デザイン・ラボへ出向。 次世代ツーリズム(シェアエコツーリズム)・多拠点生活を推進中。

Kkeiko

このライターの記事をもっと読む

  • twitter
  • facebook
  • LINE

一覧へ戻る

RELATED ARTICLE関連記事

今すぐお問い合わせ